初チャレンジ、SR600上毛三山 景色と登り、それは飴とムチ

本当に油断していたら・・・
まるでソフトクリームを食べながらついついSNSの書き込みをしていたら、コーンのお尻の部分からソフトがタラタラとこぼれ出て、気が付いたら手首から肘までこぼれていて周りの人が気付いていて冷ややかに見守っている、みたいな(例え話、長っ!)
そんな感じで気が付いたら日本国内のSR600のルートが増殖している。
多分だけどそんな感じで油断していたらいつの間にかSR600のパーマネントコースは日本国内で現在15ルート。
元々あった3つが高いところまで登っていくという意味ではある意味別格だと思っているが、他のルートも標高が低い代わりに登坂回数が増えたり登りも下りも険しいルートと、これまた違った意味で過酷さを増している。


個人的には2,000mに達しない登りは天候も急変して想像を絶するほどの荒れっぷりなんてほぼ起こらないし、肉体的な危険度はそれほどではないのだが、その分野生動物もてんこ盛りだったり林道に毛が生えたような、中には毛も生えてないような急勾配で道も荒れ荒れの登りをこれでもか!と言うほど走るルートもある。

 


要するにSR600はルートごとに特徴があり、攻略法は細かく変わってくる。
そしてルートを設定した人の思いが感じられるので、涙が出るほど共感できるルートもあれば、走り進むほどに・・・まぁいい。これは個人の感性の問題だ。

群馬から出ないというSR600上毛三山。長野なんかに比べると登りはあまり大きくないイメージだがそんなことはない。
越えても越えても1300m級の登りがやってくる。関東平野の裾に位置するので、低い位置から1000m以上登り続ける峠が多くある。
そして何より急勾配で南斜面。ひたすら太陽を浴び続けるルートが多い。今まで四国や紀伊山地、京都など、すべて簡単とは言えないひねりの効いた難しさがあったが、群馬の難しさは
●1,300mほどのの準高地エリアへ何度も登る
●太陽との戦い
なんだか太陽に負けたなんて言うと、まるで雨に負けた太陽王インデュラインの顔が脳裏をかすめたが、暑さで脳裏をかすめるのは幻覚か?
そして地元の人は口をそろえて田舎だと言うが、いやいやここはれっきとした関東地方。関西の田舎からやってくるとなかなかナウいぜアーバンエリア!なのである。
信号も無駄に多い。そう、無駄だ。要らんやろ。なにせスタートして20kmで赤信号無視して目の前を横切った車3台。このパターンは関西にはない。少なくともオレは遭遇していない。なかなか最初からアウェー感を感じるSR600の始まりだった。
スタートは朝8時。理由は簡単
●ホテルの朝食開始が6時半が多いので、ホテルで朝食してからスタートできる
●一つの目安にしている36時間ゴールで行動すると、晩8時にゴールで、そのまま遅くとも22時にはホテルにチェックインできる。うまくいけば洗濯してお風呂に浸る(沈没?)時間がある。失敗して38時間だとしても、0時までに寝られる可能性が高い。これが1時ゴールとかだと非常に困る。

スタートには高崎の友人たちが激励にやってきてくれた。スタートしたらゴールまで誰とも会話しないし、52才にして限りなく引きこもり的な走りをしているので、下手をするとコンビニとかだと「ありがとう」ぐらいしか言わない。自分でも恐ろしいまでの完璧な新型コロナウィルス感染対策よろしく、もし感染したら・・・仮眠する公園のベンチとかゼェゼェハァハァして登る超急な峠を疑ったほうがいいのだろうか?それとも検査精度を疑ってもいいのだろうか。
とにもかくにも見送られながらのスタート。

今回はGPSナビ機能はお休み。久しぶりにキューシートだけでの走行だ。
で、スタートして数kmでいきなり道がわからん!
走行している道路から斜め右に入るのはわかったが、実はその手前に同じように斜め右の道が。旧街道っぽいたたずまいで最高にタラップ。キューシートの備考には
「後続車に注意して右前方道路に進行」
いや、オレが欲しいインフォメーションは、目印なのだが・・・
仕方ないので手前の道に戻り確認。
違った・・・汗
再び奥の方のルートへ。
細かなルートは群馬のブルべではよく通るのかもしれないが、今日はこの辺り初めて走るので、ルート上でもときどき確認しながらの走りになる。そして太陽は頭上へと移動していき、容赦のない攻撃を仕掛けてくる。
どんどん頭がぼぉーっとして思考能力がぼやけてくる。
オレは日陰を、走りたいよう!!
あ、まだ少し頭が動いているようだ。先を急ごう・・・


久しぶりの榛名山から下って行って安中駅、そしてこんにゃく芋でお世話になった下仁田を通過。
マチュア時代、海外への渡航費がなくてこんにゃく屋さんで芋洗いのアルバイト。
30kgの土がいっぱいついた袋を運んできて芋洗い。そして洗った芋を移動。
午前中3時間で90袋ほど洗っていた。
気温一桁の屋外、真冬なのにTシャツで湯気が出るほどに汗をかいて、ひたすらこんにゃく芋を担いでいた。それが群馬の下仁田産だった。一生忘れない。あのおかげで渡航費が出来てオランダへと行くことができた。そして土臭いユリ畑で球根植えるもぐりのアルバイトもしていたなぁ・・・

少し雨がぱらつくも、妙義山を登るころには晴れ。うだる暑さに変わり、そして二度上げ峠ではひたすらブヨの攻撃。ブヨは最低だが、ブヨに気を取られている間にいつの間にか頂上がやってきていた。が、数カ所ブヨにやられ数日間かゆみと戦う羽目に。

下り切って大津の交差点からは急勾配の登りで草津温泉へ。ここはSR600FUJIでも何度も心が折れそうになりながら登っていたが、なぜか今回は気がついたら登り切っていた。基本的な体調は良かったのかもしれない。草津温泉からは野反湖や奥四万湖を終えてからでないと補給は難しいので、きっちりと草津温泉のコンビニで数時間分は購入しておく。
真っ暗で終わりが見えない野反湖はある意味真っ暗で良かったのか。奥四万湖は手前の道路がわかりずらくロスト。それでも沼田まで進んで夜中1時頃だったのでスムーズだった。後閑駅のベンチで仮眠してから2日目に突入する。

坤六峠(こんろくとうげ)は下ってきたことはあるが登るのは初めて。下っていても長いなぁという記憶はあったが、やはり登ってみると長かった。登り始めが低いので、群馬の登りは一つ一つにパンチがある。もうそろそろ終わりかな?終わってくれ、さっさと終わりやがれ!と思った頃にようやく終わってくれる。2日目も殺人的な暑さと湿度で不快度合いが半端ない。
保冷ボトル大2本ですら油断していると15分ほどで底が見えてくる。
尾瀬まで降りる下りは快適だったが赤城山に登る頃には暑さMax!下りも太陽を浴びながらで、空冷を感じている間はよかったが、下界に辿り着くと暑くて集中力が切れてくる。
林道三境線は路面の悪さも許容範囲。それよりもオートバイの通行や中には普通車での通行がちょっとびっくり。ここを普通車で通るのか・・・

下ってしまうと平野部を横切って最後の登りへ。意外とこの平坦トランジット区間が交通量的に厳しい。
最後の登りは真っ暗でなければ特に難易度は高くないのかもだが、思いのほか高さもあり下りがスリリングな感じだった。

高崎に行くまででも何度かミスルートをしたが38時間24分でゴール。
40時間は切れたが36時間ぐらいでもしや?と言う淡い期待は上毛三山に蹴散らされ、
上毛三山オレも散々、なSR600群馬だった。

しかし走り終えて思ったのは、ちょうどいいぐらいアウェー感で最後まで楽しめたし、また落ち着いたら今回の自己記録をブレークするようにタイムアタックしたいなぁと思った。
個人的には二度上峠や草津温泉への登り、野反湖や坤六峠、赤城山や下ってからの裾を走るルート、そして林道三境線、そして最後の登りがなければ言うことないのだが・・・
きついとか嫌いとか言っているのではない。
好きじゃないだけだ。

でもまたきっとオレは走るな・・・

 

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8時、高崎駅をスタート

f:id:masahikomifune2:20210903162706j:plain榛名山のある榛名湖って前回も思ったけどすごく癒されるキレイさ

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そう言えば榛名山は1170m。これもかなり低いところからだから堪えるよね。

f:id:masahikomifune2:20210903162754j:plain下仁田でランチタイム

 

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男っぽさを感じる妙義の山は結構好きだ

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今回も重宝しているフルジェル。
最近はスタート時は少しかさばるがポケットに4個。これで最初の200kmは他の補給食も接種はするが、甘さと腹持ちの良さでストレスなく200kmに辿り着ける。

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ブヨにやられまくった二度上峠

もしオレが群馬県知事になったら、麓から頂上までブヨが住めない対策を施したい・・・
マジ痛かった

f:id:masahikomifune2:20210903162956j:plain夜の野反湖
景色はいいらしい・・・

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沼田で夜食?寝る前のごはん。
ダイエットの敵だが残念なぐらいに腹減った

f:id:masahikomifune2:20210903163040j:plain後閑駅の外のベンチで仮眠。
この後閑駅のベンチ気持ちいいぜ!いったん寝たらオレは、うごかん!


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夜明けとともに走り出す
2日目スタート

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坤六峠は、長い。途中飽きてきた・・・

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これ、もし昼間だったら熱中症だったかもな
無事坤六峠へ

今回のバイクはいつものブルべバイク、エディメルクス・ラバレド68
ちょっと雪国か?って荒れ方の路面でも暴れない、衝撃吸収能力の高さがお気に入り。
150kmとかだったら迷わず525をチョイスするけど、300km越えたら絶対こっちのほうがいい。

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林道を抜けて桐生へ
最後のラストスパートに備えて、華麗に走るべくカレーライス
というか、超おつかれーです🍛

f:id:masahikomifune2:20210903163232j:plainいよいよ2度目の闇へ

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SR600上毛三山のルートで、個人的にはここの闇が一番痺れた。なんでだろ。
頂上付近ののゾクゾク感が、全身の毛が震えるような感覚。

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午後10時24分ゴール
11時半にチェックイン完了し大急ぎで洗濯し布団の中へ、深く静かな闇へと吸い込まれた。