ゴールデンウィークは四国三昧 BRM429近畿1000徳島 ② 愛南~徳島

ハンバーグのパワーは偉大だ。快調にペース維持している。
しかしそんなときに魔が差すのだろう。
580kmを過ぎた地点、山本くんが道路のキャットアイにつまづき落車。肘や膝が流血。
まだ400km以上あるし、ショートカットして帰ることもできない。

オレ自身ももう少し注意しておけばよかったか、などと考える。
本人は大丈夫なのか?自転車は大丈夫なのか・・・落車や機材トラブルがあると真っ先に継続可能なのかどうなのかが頭をよぎる。

転ばぬ先の杖、が、転んでからのファーストエイドキット。
少し大きめのサドルバッグをチョイスしているのは、ファーストエイドキットを携行するため。
国道439号に入って以降は、お店もほとんどないし何かあっても基本自力だ。
そのためのファーストエイドキットと思っていつもより準備を整えていたが、あって良かった。傷薬や消毒液も持ってきておいた。
自転車の方は問題なさそう。しかし最初は少し様子を見ながらのシフトやブレーキングをしたほうがよさそうだ。違和感を感じてからでは致命的とも言える。

 

宇和島に入ってすき家へ。夕食タイム。
そしてここから鬼北町に向けて登り開始。
まだここは序の口と行ったところ。そして国道320号から国道197号に入る頃から眠さが襲いだす。
あとから思えば、四国カルストに登る前に、さっさと寝ておくというほうが良かったのかもしれない。
鬼北町の道の駅夢産地あたりはあまり寒くなかったし、きっと快適に寝られただろう。鬼のモニュメント、柚鬼媛(ゆきひめ)を見ながらいい夢に抱かれて寝るのが正しかったに違いない。
寝不足と疲労で源氏ヶ駄場までの登りはかなりスローペースでの登りとなった。
疲労しきって到達した源氏ヶ駄場は、昔平家の落人が白馬に乗った多勢の源氏と見間違えたというところからきているとのことだが、あまりの疲労とそれ以前に真っ暗すぎて源氏にも何にも見えなかった。やはり柚鬼媛が良かった・・・

想像以上の極寒となった天狗高原を足早に去り、下り切った仁淀川でバス停を発見。予想以上に時間がかかり、バス停で1時間仮眠。目が覚めると明るくなっていた。

朝ごはんをローソンで食べて、ここから国道439号ライドを楽しむ。
個人的には大峠トンネルの方、すなわち旧道を走りたいのだが。やはり酷道と呼ばれる道路は旧道に限る・・・
そんなオレのうんちく話をしているうちに早明浦へ。ここはこのブルべのあと、SR600剣できっと仮眠ポイントとなるだろうところ。ここからはSR600の下見的要素も含まれる。
梶ヶ森は長い登りと言うだけではなく急勾配。ゆっくりと走るほうが困難だ。お互いマイペースで頂上を目指す。頂上からの絶景は、それまでの苦労をねぎらってくれているようだ。きついけど見返りは大きい登りだ。
ダウンヒルも強烈。ただ道が狭いのでスピードが出るわけではなく、ただただテクニカル。スピードも上がらないので、登りで失ったタイムは永遠に戻らない。快適なダウンヒルであれば多少は借金を返して「帳尻を合わせる」ようなイメージだが、ここでは
大きく借金したから、ダウンヒルの小さな借金は気にならないよね
そんな感じの下りだ。
下り切るとバイパス化されてきている国道439号徳島県を目指す京柱峠開始だ。
昔まだ20才だった頃、初めて京柱峠に来た頃はこの道路の左にある旧道だった。
ただただひたすらに道が狭く、くねくねと日陰になった道路を登っていくと、遠くに頂上らしきものが見え隠れする、そんな峠だった。
個人的に京柱峠はあまり好きじゃない。勾配?長さ?なんだろうか。見た目よりもはるかに厳しく感じる。
少し山本くんもきつそうで頂上で待つ。ここからのダウンヒルはそれなりに道は荒れていて、ある意味さすが酷道ヨサク!と思うが、それでもピーク時の荒れ具合からするとそれはまったく別の道路になってしまった。

落合集落ポイントを通過し、剣山を目指す。
ここもけっこう長い。信州と比べると数字のスペックだけなら大したことのない四国の山々だが、数字では見えてこないきつさがある。
自動販売機もほぼほぼないし、人の営みも山間部に入るとまったくない。
過去に集落はあったが今ではほぼ廃村となり、案山子の集落になっていたり。初めて来たときは思わず案山子に会釈してしまった。

頂上まで少しだけペースアップ。頂上の民宿まつうらさんで食事がしたい。
ここからもしばらく何も食べるものはない。ここなら食事が出来るのはSR600四国山脈で確認済み。ゴールデンウィークだし休業しているとも思えない。
山本君がペースが上がらないので前でペースメーカーになり頂上へ。
18時になんとかまつうらさんへ。暖かい月見そばを食べて日が暮れないうちに下れるだけ下りたい。
下りは途中で国道をそれて簡易舗装区間グラベル区間へ。こちらの方がショートカットなのだろうか。
ここから徳島までは下り基調。それは間違っていない。標高1,300m以上から海抜20mほどまでいくのだから。しかしその途中にある意味隠れラスボスとも言える「川井峠」が。
本当は登らなくて行けるルートがあるんでしょ??と思わなくもなかったが、実際はこれが最短ルートで、徳島へは避けて通れない「川井峠」なのだ。
標高差も300mほどあり、普通のブルべなられっきとした峠。なのでちゃんとチェックするのだが、さすがに梶ヶ森、京柱、剣山、と来てからだと峠に見えないまったくのノーチェック。しかしこれは油断しているとやられてしまうやつだ。
最後は全集中モードで頂上を目指す。なんかわからないが山本くんと(気持ちだけ)ジロデイタリアモード。スピードは・・・そりゃ950kmほど走ってジロを走れるほどではないので、あくまでイメージだが。
体にこびりついた蓄積疲労を川井峠のトンネル入り口に置き去り、気持ちはリフレッシュし今度こそ最後徳島市へ向けて下り基調。思いのほか道は狭く、ここは国道438号表記だが国道439号共有区間でもある。さすがはヨサク、その名に恥じない。
下りが豪快だった分、下り切っても徳島まで結局平坦が長い・・・最後はお互い協力して59時間02分でフィニッシュ。

56時間ぐらいもあるかなぁ、というプランニングで進めていたが、実際はルートは後半なかなか険しく、それよりも中一日でスタートするSR600剣に体力を置いておきたいという気持ちが強く、いつもより攻める姿勢、プッシュするような走りは控えた。
しかし全体で3時間以上は睡眠しレストランに入って食事をしたりしたことを考えれば実走タイムで言うと悪くないのではないだろうか。
少し余分に持っておいたエレコムのモバイルバッテリー、10000mAhを2個持っていたが1個はまったく使わなかった(走行中は基本電源オフか電波OFFモード)

途中きつかった区間も山本くんとお互い励まし合いながら、無事安全に完走できたことは嬉しいことだ。彼も彼なりに努力して対策をして今回に挑み、以前よりも安定した走力を兼ね備えている。
走力とは移動時のスピードだけじゃない。休息中を含めてグロスでのスピード、すべてにおいて無駄がなくスムーズなので一緒に走っていてストレスがない。

認定の申請場所へ移動し主催者片山氏と再開。彼の作ったコースは素晴らしく、楽しいコースだった。
もし唯一ダメだしするなら・・・ここまでヨサクがいい感じで連動しているイメージで後半走れるなら、大峠トンネルそして最後神山での旧道にある府能隧道あたりを通るルートでも良かったよなぁ~
この片山氏のプロデュースするグランフォンドシリーズにはお似合いだと思うのだが。

そんなことを思いながら、気持ちは既にSR600剣に向かっていたのである。

今回サドルバッグに入れておいたファーストエイドセット
山本くんの落車での怪我の処置には役立つことで来てよかった。

宇和島で夕食。

すき家と言えど、これから向かう先を考えれば、最後の晩餐よろしく、すごくお食事に感じてしまった。
次に温かいものを座って食べられるのはいつだろう。

鬼北町の道の駅 日吉夢産地
歯を磨きたいだけだったが、あとから思えばここでちゃんと仮眠をして進むのが正解だったかもしれない。
艶やかな柚鬼媛(ゆきひめ)の足元で、見守られながら仮眠すればよかった・・・

 

男水自然公園当たりは疲労のピークだった。水辺りなので寒いから寝るに寝られない・・・

源氏ヶ駄場 1時半

はっきり言うと、源氏ヶ駄場に訪れる時間じゃない・・・

何か出てきませんか?って聞かれそうな雰囲気だけど、真っ暗で何か出てきても見えないので怖くない

梶ヶ森への道
苔の生え方がいい味出している。

 

梶ヶ森
絶景だ。

 

京柱峠を登ると、そこは徳島県

高知県ありがとう、そしてさようなら。

 

何度見ても昔底に住んでいたということに驚きを感じる落合集落。
実はSR600剣ではその集落の中を走れるので、すごく楽しみだ。

 

後半集中できたのは、剣山で食べた民宿まつうらさんの月見そばのおかげだ。

川井峠を登れば峠はおしまい。