東京~納沙布1900 その壱

今年のゴールデンウィークは、ランドヌ東京さんのRide Across Japan第3弾
2024 RM427東京1900めざせ最東端納沙布岬

東京(正確には川崎市)から北海道の東端、納沙布岬まで行っちゃう1900kmのブルべ。
去年の下関から大間まで行くブルべは日本海側を楽しむブルべだとすれば、これは太平洋側のブルべ。
ランドヌ東京代表の津村さんの引くルートがなかなか絶妙だな、というのは昨年の下関~大間でも感じたのだけど、今回三陸側を国道45号線で突き抜けていくあたり、
もしかして津村さん、このブルべって国道45号線を走ってみたいっていう理由じゃなかろうか??
と。

 


STRAVAパーソナルヒートマップで自分自身も東北、特に岩手県は弱いから走りたいなぁという気持ちが強かったのだけど、同じような思いではないか、とルートを見ていて感じられた。
きっと国道45号と函館から納沙布へと走ると微妙に1900kmに足りなくって、そこの調整がきっと犬吠埼だったんじゃないかな?と。
いずれにしても青森から函館へのフェリーは一度は乗ってみたいと子供の頃から思っていたし、そしてこのブルべに完走すれば1200km以上のRM完走が記念すべき10回めという節目でもある。

岡山1200ブルべは、可能な限り楽して走ろうと思ったけど、そんな楽な1200kmブルべなんてないし、コースプロフィールもだが天候的にもなかなか厳しかった。
岡山とバイクを入れ替える。そうすることでメンテナンスは事前に完璧な状態に仕上げておける~、バイクコンディション的にはパーフェクで挑める。
1900kmも走るのに、バイクのコンディションが良好でないのは危険だ。


スタート地点へは前日移動で輪行。新横浜からは在来線だが、関東は日中でも混雑しているので輪行はストレスだ。

朝6時にスタート。5時にはホテルをチェックアウトして駅前すき家で朝食。長い距離のブルべでは、スタート前の味噌汁や豚汁が、なんとなく頑張れる気がするから好きだ。
ブリーフィングでざっと参加者を見渡すと70~80名か。
全工程の中で今日が一番天候が怪しい。今日だけ乗り切ればなんとかなるし、降雨予想時間も数時間も降らないから、マッドガードなし。どうぞ激しい雨にはなりませんように…
川崎市から都内へ。それも銀座など都内中心を突き抜けていく。
今回岡山と違い基本はすべての荷物を持参、セルフサポートで挑む。都内の信号インターバルが重たい荷物には堪える。
今回のプランニングは、27日朝6時スタートで3日の夕方ゴール、156時間前後でのフィニッシュという想定だ。

速い人たちのパックに入り進んでいく。このスピードでみんな納沙布へ行くのか??こんなスピードだと4月中に終わっちゃうぜ!って思いながら食らいついていく。

九十九里海岸手前から雨。気温も低くないしウィンドブレーカーで雨をしのぐ。
そうしているうちに雨はやんでいった。

他の人たちと比べて荷物も重く岡山の疲れもあるのか、それほどスピードは出ない。
無理にペースを上げず、逆に上げないようにして疲労を貯めない。そしてゆっくりでもいいから移動し続ける。
水戸の手前で一旦コンビニに入って休憩する。
水戸で休む人やだいたいが福島県に入る前に初日を終える中、こちらはひとまず福島県に入り仮眠予定。当初の狙いは矢祭山駅駅かなと思っていたが、思ったより近かった。もう少し走ろうとそのまま走行、郡山を抜けて日和田駅でいったん休憩することにする。
少し霧が出てきて、走り続けてもウェアを濡らしてしまう。ここで一旦休めよ、と言われている気がした。約2時間ほど寝て再スタート。

宮城県へ入りコンビニで腹ごしらえ。喫煙している年配女性がこっち見ながら自分の近くにタバコポイ捨て、それも火すら消えていない。別に夜通し走ってイライラしていたわけじゃないが、こちらの気持ちに火がついて、捨てられたタバコを女性の元に届けて一言吐いた。連れの男性がコンビニから出てきて女性が告げ口してこちらに来かけたが、目が合ったところでそのまま車に戻り走り去った。何を言いたかったのか、何をしたかったのかわからないが、いずれにしてもタバコ吸い終わったら、ちゃんと灰皿なり自分でちゃんと持って帰って欲しい。

仙台空港横を抜けて海岸沿いへ。松島町はわりと人が多く活気がある、と言えば聞こえはいいが、要は渋滞で走りにくい・・・
石巻のコントロールのコンビニ。暑い。東北は涼しいかも、と思っていた自分が甘かった。
この日は気温ほぼ30℃。暑さに順応していないから辛い。

岩手県に入り三陸海岸へ。震災の爪痕がないようにしているが、むしろ隠そうとしていることがその爪痕の大きさを感じてしまう。観光感覚で写真を撮る気にもなれないし、自分で見ていろいろと感じながら進んでいくことにする。

陸前高田では花火大会の日だそうで、街に降りるタイミングで交通規制に引っかかる。
最初はせっかくだし少し見ていこうかと思ったが、今日はホテルを予約していて、山町まで。まだここから60kmほどでアップダウンを考えたら結構遅い時間になる。3日目の山田~青森を考えると少しでもたくさん寝たいので残念だが先を急ぐ。
しかし陸前高田から大船渡への峠は思っていたよりも険しかった。

陸前高田で晩御飯でも考えていたが人の多さで断念。そのかわり大船渡のコンビニで晩御飯にする。
そして大船渡から釜石へと向かう峠の下りで、鹿が飛び出してきて衝突。
ぶつかる瞬間にすべてが終わるような感覚に包まれる。
地面にどう落ちたのかわからない。がしばらくして叩きつけられたような衝撃と、そして何事もなかったように静けさの中、ダウンチューブに取り付けていたツールボトルが峠の下の方へ擦れる音を発しながら15mほど転がっているのを発見。
自転車がない!と思ったら、峠の上の方、約15mほど離れたところに倒れている。
寝転がっていても仕方がない。恐る恐る立ち上がり、骨折等はないのは理解できた。膝のまわり、けっこう激しい擦過傷で、見ているうちにどんどん血がにじんできた。
バイクはハンドルが横を向いているが暗いので被害状況がわからない。とりあえずここにいても仕方ないので進んでみるか、と、ふとスマホがないことに気づく。
カーゴビブのポケットに入れていたが、衝撃で飛んでいったようだ。で、どこへ??
ライトで探すが全く見当たらない。
ツールボトルはバイクから結局40mほど離れていた。と言うことはスマホがそのぐらい離れていても不思議ではない。でツールボトルのあったあたりの道から山の方をライトで照らすと、案の定発見。
下りでブレーキングを多用しフレームの破損やパーツの破損がないか確認。登り返しでシフトした時、どうもエンドが曲がっていることは確認。予備のエンドは持っているが、真っ暗闇で交換することにリスクはつきもの。あと40km弱走ればホテル、とりあえず今日はこのままゆっくりでもいいから走ってホテルめざし、ちゃんと寝て明日の朝に最終的な確認をしていこう。

とにかくこの40kmは遠かった。結局3時間半かかってホテルへ辿り着く。
走っていると徐々に体のあちこちに痛みが。
自分の着ているウィンドブレーカーが熱で溶けたかのような破れ方をしていることに気づく。もうウェアって呼べる状態じゃない。
そしてお尻が痛いなぁと触ったらべっとりと血が。
どうもお尻で滑っていったようで、お尻が一番激しいことになっている。そしてビブは破れてお尻丸見えだ。
ホテルには日が変わる頃チェックイン。
自転車は駐輪場へ置いて部屋へ入ってシャワーをする。
鏡を見るとケガの状況に気が重くなる半面、衝突当時を思い出すと、良くこれだけで済んだ、奇跡だなと思う気持ちも。
ただ状況を整理しての結論は、残り1150kmほど、走れそうだな、と。
そう思ったらとにかく睡魔、そりゃ2日間仮眠2時間ほどで走り続けているからね。

 

 

 

スタートに使い東横イン
今回は自転車を部屋に持ち込んでもらって構いません、と。
感謝感謝

 

1900km先のゴールを目指して、こんなにたくさんの人が走る。

コントロールポイントの犬吠埼
13:44到着、8時間弱

福島県
まさか自転車で福島県にエントリーするとは!


 

郡山を過ぎてから仮眠。既に日が変わって1時ぐらい。

 

 

ブルべをしていて星空と夜明けは最高のご褒美

阿武隈川
看板はひらがな。

いよいよ宮城県へ!

石巻のコントロールポイントのコンビニ
暑くて食欲がない

岩手県
この先ちょうど花火大会の規制に引っかかってしまう・・・

峠を下っていると、こちらめがけてシカが走ってきて、ブレーキをかけたが間に合わずシカに衝突
当たる瞬間の1秒が、まるで永遠であるかのようにすごくたくさんのことを考えていた・・・

ホテルに入って身体の状況確認をしながら破れたウェアを脱いでいると、よくこの程度?の怪我や被害で済んだな、と。運が良かった・・・