LEL参戦記 4 スタート~マルトン(366km)

スタート時間は12時30分。
約40人ずつのウェーブスタート。
スタートしてからの幹線道路、日曜日と言うこともありやや交通量は多め。
5kmほどで10人ほどのグループに。喋っているのを聞いているとほぼイギリスからの参加者か。

プロだった時、95年からの2年間イギリスのプロチームで活動していた。イギリスだから英語なのだが、自分たちが学校で習ったのはどうも英語ではないのだろう。そう言えるぐらい別言語としか言えないほどに言葉が聞き取れなかった。
その時からするとはるかに言葉は理解できるが、やはり日本の学校で習っているのは「英語」ではない。多分「米語」か?
マンチェスター出身の選手なんて、ほとんどまともに言っていることはわからなかったなぁ・・・

 


走り出してしばらくするとグループのリーダーになりそうな人が見えてくるが、今回もそんなリーダーが出現し
「よし、みんなで協力して次(のPC)を目指すぞ!」
と声をかけ、先頭5分ずつぐらい先頭でペースを作る。
女性でも結構速くて「本当なら女性だし牽かなくていいよ」と言いたいが、十分に速いのとなんだかんだでみんなこれからあと1,500km以上も走るのだから男性も女性もないのだろうか。他の参加者も一緒に参加しているっぽい参加者も先頭を代わってあげようという雰囲気はない。そもそも女性も代わって欲しいオーラがなくて、わりとみんなきっちりと5分ぐらいで先頭交代を繰り返していく。

ほんのりと向かい風基調。前回は最初から追い風基調でスムーズだった。が折り返してから700kmほど向かい風。それも場所によっては平坦で時速20キロ以下。今回風は逆で、このまま折り返したらすげぇ追い風のご褒美があることを期待して走る。

単独での参加、PCでもサポート無し。フィニッシュするまでまともに会話することはないのだろうか。
制限時間から考えて125時間、約5日間も人とまともに会話しなかったら頭がおかしくなりそうだ。
人間なんて普段無口で人と喋らない方が気楽だと思っていても,意外と人とは会話をしているし5日間も会話しないなんて言うのはありそうでないんだろうな。誰とも会話していない、だけどふと独り言を喋っていたり・・・


最初のPCシント・アイヴス。さすがに大渋滞。さっとパンだけを取ってすぐに走り始める。

思った以上に暑い。ボトルの水は減っている。
今回スポドリはピンクイオンを使用。750kmで500ml用のスティックを15本ほど。折り返しのダンファームリンのドロップバッグでさらに15本を補充予定。

ちょっと暑いのと乾くのとで15本じゃ折り返しまでもたないかも。
PBPのような私設PCはないが、たまたま道路上で水を参加者にふるまっている女性を発見。自分もボトル1本分いただくことができた。
LELでは水は無料でもらえるが水道水。これがなかなか味にクセがあり、海外で日本のように水が「おいしい」なんて感じる国に遭遇したことがない。
日本のように軟水で蛇口をひねればミネラルウォーター!みたいな国で育っていると、海外の消毒しているのか微妙な硬水の国だと、とてもじゃないが水道水を飲むなんてリスキーだ。そう言いながら自分の場合は海外生活が長いからか、オランダやベルギー、そしてイギリスでは水道水でいまのところ問題ない。
後半、朝に入れた水を夕方までほとんど飲まずに口をつけたら、ちょっと味が変!って感じたので、暑い日にボトルの中に半日って言うのは良くないのかもしれない。

コースの大半は前回と同じ。なんだかんだで記憶に残っている。ボストンへ向かう運河沿い、なんだか懐かしく思えた。ここで150km、おいおいまだ10分1かよ・・・ちょっとだけ飽きてきた・・・
ボストンのPCは大盛況。それでもここから先のことを考えると少しだけ食べておきたい。幸いレストランの座席に空席は見られる。食事をさっさと済ませてチェックアウト、先を急ぐ。
徐々に日が暮れていく。ん?謎のインド人??へんてこりんなMTBで走っている。あのバイクでフィニッシュまで走り切れるのか??そんな心配してしまうような装備の自転車を何台か抜いていく。

ルースのチェックポイントに到着。
太陽は完全に沈んだ。
時差ぼけは抜けていないが朝はゆっくりとできたので晩になってもまだ粘れている。
食べるものをPCの渋滞をある程度予測していたので補給食多め。パンやコーヒーで繋いでいく。
自転車に跨って進む。
ん?なんかおかしいな。
シフトフィーリングがおかしい。
そしてよく見るとバックミラーが割れている。
倒されたか??それも右側に。
これが変速機の調子の悪い原因か・・・
Rエンドを見るとほんの少し曲がっている。
今回テストバイクでRエンドのスペアは持っていない。なので折れてしまうと強制的に
DNFとなる。下手に直そうとしてそれこそ折れてしまうと・・・ひとまずこのまま走り続ける選択をする。残り距離、というか残り距離が長すぎ!まだ1200km以上あるし!

インナーxローは使えない。ここは注意して走らねば。

 

ハンバーブリッジ、前回は明るい時間に通過だったが今回は夜中。同じ橋で時間によって見え方は違う。ナイトライドの楽しみの一つでもある。

橋を渡ってヘッスルのチェックポイントへ。0時37分到着。
もう一つ先まで進めるか?マルトンのチェックポイントまで行くか悩んだが、まだ眠くないので進んでみる。まぁだいたいこういうチャレンジは、裏目に出る・・・
序盤は良かったが進むにつれて睡魔が大きくなってくる。
ラスト20kmほどは大失速。朝が近づくにつれて気温は下がってくるので、なおさら難易度は上がってくる。


今回の装備が比較的軽装な理由は、朝方の一番冷える時間帯を走行しないという大前提。しかし睡魔や疲労で思い通りにはいかない。
結局4時過ぎにマルトンに到着。予定では3時過ぎかと思ったが・・・

時差の割に粘れたものの、疲労がないわけではなく単純に麻痺しているだけ。疲労がヘッスルを出て一気に噴出しただけだ。
レストランにはほぼ人はいない。あまり夜通し走る人は先頭以外いないと思っていい。ちらほらと前の方でスタートした連中のゼッケンが見え始める。
まずはここで少し寝よう。まだここは366km地点、ここから「パリ~ブレスト~パリ」の距離を走る・・・

スタート地点までは車で移動

スタートまでの時間、木陰の涼しいところでゆっくり過ごす。

 

いよいよスタート

数人のグループで先頭交代が始まる。

こんなに荷物を積載している人に牽いてもらうのは少し気が引けるが、実は意外と速い。

 

シント・アイヴスのPCを過ぎると一人旅。
PBPと違うのは、パックを最大限利用するレース的な戦術的な走りは薄く、そのかわり戦略的な組み立てを持っておかないといけない。

信号待ちをしていると突然女性が「水欲しい??」
有難く頂戴した。

5年ぶりだがコースはけっこう記憶に残っている。懐かしい運河沿いだ。

ボストンのPCで食事。

夕食

 

夕陽の中を進む。
ん?こんなタイヤのMTBで1500km走るの???
彼が完走したのかどうかは、知らない。

夜のハンバーブリッジ

ヘッスルのPCで・・・夜食??1時前に食事。
ここで寝ておけばよかった。

マルトンまでの道のり、ただただ眠かった。
自撮りしても心ここにあらず・・・( ゚Д゚)