釧路には過去に来た記憶はあるのだが、さていつだったろうか。
オホーツク1300のブルべで通ったのだがあまり記憶に残っていない。
ストラバのヒートマップを見ると走ったのは間違いなく、ログを見ると何となく思い出すのだが。そして過去にはツールド北海道でもきたような気がするのだが。
なんとなく釧路は強いインパクトを感じない街なのかもしれない。北海道東部で言うと帯広や釧路なんかは割と都会なんだけど。
今回釧路には2泊。ここから一気に納沙布岬経由でフィニッシュの根室へと進み、そこでサポータークラブメンバーがお出迎えしてくれて、そのままホテルへと戻ってくる。
そうすることで不要の荷物をホテルへ置いていけるので、最終日にして軽快に走れる、はずだ。
あとは何でもかんでも荷物を置いていくのではなく、距離は短いと言えど必要なものは何かをちゃんと選別せねば取返しのつかないことになりかねない。
朝の空気が本州や襟裳岬より西側と何か違う。
温度だけでなくまるで空気中の成分が違うかのように息を吸い込んだ時、肌にかすめていった時と何かが違う。昨晩日が暮れてからの寒さも気温以上、これこそが道東なのかもしれない。
朝は比較的ゆっくりと活動開始。ホテルの朝食が6時半なのでそれに合わせて支度をし、食べ終わったらそのまま出発。
今日のルートも昨日に負けず劣らず簡単。というか、東京を抜けて犬吠埼を越えてからは、比較的わかりやすいルートを進んでいると言えるだろう。
釧路から少しだけ登り国道44号に入ってからは、根室までひたすら一本道。
厚岸から厚床を抜けていく区間は過去最高レベルの追い風。そう考えると、もしこのブルべが根室スタートで東京ゴールだったらと考えるとゾッとする。
道の駅スワン44ねむろ
ここは今回何が何でも立ち寄りたかった場所。
過去に北海道1200のブルべの際、台風直撃で中止になったのだが、完全に暴風域に飲まれた根室にそのまま突き抜けてしまった。
大雨すぎて走っているだけで何も考えていない。カッパに当たる大粒の雨の音と顔に当たる大粒の雨、川になっている国道を突き進むタイヤの抵抗だけがずっと情報として脳内を刺激している。漕いでいるという行為以外何もない肉の塊。そんな状態だった。
胴回りよりも太い木が折れて道に落ちていたり、まるでバリケードみたいに道を塞いでいる。
冷静になった瞬間、一度リセットしよう、と立ち寄ったというか避難したのが道の駅スワン44ねむろだった。
エントランスの隙間に入り込み雨風を避ける。
今自分がどこでどういう状況でどこを走っているのかも把握していない。クマのいるような森の中なのかもわからない。だからクマが出たとしてもとりあえず隙間に入れば大丈夫だろう、と。
主催者に連絡をした際、中止にして迎えに行くからそこで待機して、と言われ2時間ほど滞在した。
誰もいない、ただ激しい雨音と爆風の音だけがずっと耳を刺激していた。
もう10年ほど前の話だ。
さすがに訪れる人が多くてエントランスの隙間に入り込むことも出来ないが(笑)
でもなんとなく当時と建物が変わったのかな?エントランスのあたりが記憶とは違う。
当時は夜中だったが今日は真昼間。そのせいなのだろうか。せっかくだし昼食をしてから走りだす。
根室に着いた頃からなんとなく素晴らしい青空だったのが、何となく厚い雲に覆われ始める。まさかこのブルべ、最初と最後だけ雨かよ・・・
そして納沙布岬まではポツポツと雨が降るも無事到達。
通過チェックの写真を撮影しオフィシャルのフィニッシュである根室を目指す。
納沙布岬から1kmほどで恐ろしいほどの爆風&雨。最後にこれはないだろ!!
達成感に浸る余裕はない。一刻も早くこの嵐から解放されたい。
まるでロードレースのような気持ちで横風と戦いながら突き進む。
気温も一気に低下し、15℃以下まで下がったのではないだろうか。5℃以上は一気にさがったようだ。
そして15時39分、スタートしてから153時間39分で、フィニッシュ。
しかしあまりの寒さで余韻はゼロ。サポータークラブの脇山くんがわざわざ迎えに来てくれたのだが、最初は根室から釧路まで自走で帰る!と伝えてたのだが・・・ホント来てくれたことに感謝と言うか来てなかったから寒くてセブンイレブンで絶命していたわ…
大急ぎで彼の車に乗り込み、釧路を目指す。
と、雨はやんで青空・・・
オレのゴールだけ嵐かいッ!!
まぁ毎回のお約束ですな・・・
これでこのゴールデンウィークの、岡山1200から続いた修行のようなブルベ三昧、一幕幕を閉じた。
そしてここからしばらくはグランフォンドそしてグラベルと、元々の活動拠点?であるレースシーンへ。
ブルべを永らくやっていると、元プロ選手と言う肩書きは多くの人が知っているのだが、どうもブルべをプロとしてやっていると思っているのか、ロードレースやシクロクロスをしていると知ると
すごいですねぇ!!レースもされるんですか!!
と。
おいおい、ホントはそっちの人だったんで、むしろブルベすることに驚いてほしいんですけど・・・(;'∀')
しかし振り返ればたくさん走った。
また機会があれば、飽きるぐらいいっぱい走りたいね。

今日はサドルバッグをホテルに置いてきて軽量化。

こういう景色を見ると、自然に生きている以上仕方ないと思うが、人間の乱開発の影響で動物は行き場をなくし、仕方なく人間社会との接点の中でこういう生涯を閉じてしまうのだ、と。
車と衝突すればシカでもこうなるのだから人間なんて当然。
明日は我が身、気をつけなければ。

道の駅すわんのエントランス横のスペース。ここに避難していた。
明るいときに見るとちょっと恥ずかしいなぁ(笑)

納沙布岬へ到着

オフィシャルのフィニッシュは根室市内のコンビニ。
冷たい雹と爆風で一気に消耗した。

手のひらも圧がかかって変色している。