LEL参戦記 6

モファットはスタートしてから、というかスタートの日の朝のホテル以来、久しぶりにネットに繋がった。
今回の渡航ではWi-Fiに繋がる設定にしていないので、無料Wi-Fiに接続できる環境がなければスマホはカメラでしかない。
ネットに繋げてみると日本から応援メッセージが入っていて熱くなる。
そして状況を見ると、現時点でトータルタイムで10番前後で走行しているようだ。

 


なんと!ノンサポートと考えると悪くない、というか上出来だ。
先頭は完全フルサポートで平均時速が一人だけ異次元。2番目は少し垂れているがほぼ荷物なしなのだろうか。4番目以降はなんとなくだがセルフサポートと思われるペース。ここまで来たら10番以内で戻ってきたいなぁ。
と、欲にまみれた中で食事をさっさと終えて先を急ぐ。
モファットを出発するといきなりの峠。と言ってもそれほどきつくはない。
勾配もアウターで行けるかな?ぐらいで長さもほどほど。登っている間に太陽は隠れていき、赤い夕陽が一気に暗闇へと進んでいく。
途端にさっきまでのアドレナリン全開だった気持ちはスイッチオフしたような感覚で睡魔に襲われる。今までで一番ヤバい。体温も上がってくれない。ここまでほんの少しの仮眠だけだったし時差ぼけも完全には抜けてない。その反動は大きい。
そしてほとんどの時間を単独走行で自問自答しながら走っている。自問自答するネタが尽きれば・・・意外と簡単に尽きる。
オレは何がしたいんだ?みたいな問いかけでも元気な時はそれだけで10分ぐらいは遊べるのに、そのまま考え込んで深い闇の中に吸い込まれるように、睡魔の海に沈んでいく。
ふと真っ黒な、音のしない深い海の底へと沈んでいるような感覚のとき、自分の意思で「危険だ!戻らなければ!」と睡魔の世界からもがき這い上がってくる。
時折首や肩から脱力感で自分でもびっくりする瞬間がある。
下りでもペダルを意識的に速く回して睡魔と戦うが今回の睡魔はなかなか強大。
勝てない敵のときはどうするか。寝るのが一番だ。
なにもない丘陵地帯。とにかく民家があるといいのだが。
10㎞ぐらいは下半身が睡魔の海の中に浸かっているかのような状態で走り続ける。眠さに負けないのは訓練のたまもの化。しかしペースはすこぶる遅い。こういう時は走り続けてもあまり意味がない。危険だし。
そうすると小さな町?を発見。真っ暗で小さいと思っているだけかもしれないが。
そして屋根のついたバス停を発見。迷うことなくバス停でストップ、そして睡眠。
途中何人かに抜かれ、心配して止まっていく参加者も。心配してくれることはありがたいことだ。

30分も寝ると少し落ち着く、今のうちに先を急ぐ。まずまずのペースで走っているが、それでもまたしばらく行くと睡魔に包まれる。
何もないエリアだったがまたバス停を発見し、少しだけ休むことにする。

夜明け前、眠いのでガソリンスタンドでコーヒーを買う。
朝が早すぎるからかお店には入れてもらえず店員にコーヒーが欲しいというとガソリン代を払う、店員を壁越しにお金のやり取りをするスペースにコーヒーを置かれる。治安のいい日本から来ると、海外の治安がいいって言うのは、ちょっと違うカテゴリーの話なんだと改めて思う。

折り返しのダンファームリンは2日め朝4時45分。ほぼ40時間ほど経過している。
予想より数時間遅い。
マルトンでもだったが、この時間帯の延着は体力を消耗する。

今回荷物を減らしたが、主に防寒具。
要は一番冷え込む時間を睡眠に充てることで防寒具を持参しなくてもいい、と。
だがマルトンもダンファームリンも、一番寒い時間帯に入り込んでいる。マルトン手前はかなり寒かった。
前もって預けていたドロップバッグに着替えが入っている。ここで着替え。
2日ぶりのシャワー。しかし思っている以上にべとべとしていないのは湿度との関係?もしくはオレが気にしていないだけ??

少しだけ食べてシャワーをして、仮眠室へ。
暗い仮眠室、目が慣れてくるとほとんど先客はいない。1人だけとんでもなくうるさいイビキの人がいたから、まるでたくさんいるような錯覚に陥っただけか。
イビキが聞こえなくなった、と思ったら寝ているのは自分だけだった。
朝食を摂ってリセット完了、復路へと進む。
太陽が昇ると寒さは和らぐので気持ちは楽だ。

ダンファームリンでドロップバッグを受け取りシャワーへ

 

仮眠所
良く見えないが10名ほどが寝ているようだ。